そこは地元への想いがつまったイチゴのショールーム ~イチゴ狩り~

その日は強めの雨の中、宿泊先の南相馬市から山元町のICHIGO WORLDを目指し、国道6号を北上していました。我々の大先輩が起業し、テレビ等で紹介されている「キャンセル待ちが出るイチゴ狩り」に行くために。道中の車窓からICHIGO WORLDの看板を見つけ、イチゴ狩りの気分が高まります。

この看板には、イチゴ狩りの営業期間が「1月2日~」と書かれていて、車内の同乗者と「お正月からイチゴ狩り?需要あるのだろうか?!」と話していました。その時はこの営業期間に込められた想いを知らずに。

そうして、午前10時頃にICHIGO WORLDに到着すると、駐車場には既に10台以上の車がありました。「え?こんなに混んでるの?!早くしないとイチゴがなくなってしまう!」と焦る気持ちをおさえて受付へ。案内された農場には食べきれないほどの真っ赤に熟した大きなイチゴが生っていて、一安心。イチゴ狩りというよりイチゴを食べることを満喫しました!

ここで発見したことが3つあります。1つは、雨が降っていても、受付の建物や農場の中がきれいに保たれるように入口が広いなどの工夫がされていたこと。次は、イチゴの食べ方の提案(チョコレートフォンデュ)やイチゴの被り物がありICHIGO WORLD自体がイチゴのショールームになっていること。そして、最後に、1月2日からの営業期間に込められた地元への想いです。お正月のイチゴ狩りは、帰省した家族の団欒の場だったのです。来年のイチゴも楽しみです!!(片柳貴文)

いちごとりんごの街、山元町

山元町は、いちごとりんごの名産地です。町内には、いちご農家とりんご農家がたくさんあります。山元町を南北に貫く道路には、これらにちなんだ通称が付けられていました。西側を貫く道路は通称アップルロード、東側を貫く道路は通称ストロベリーロード、と呼ばれています。

今回立ち寄ったのは、アップルロード沿いにある山元町農産物直売所「夢いちごの郷」。ここでは、地元で取れたいちごやりんごの加工品を中心に、たくさんの珍しい食品が売られていました。そんな中、目を引いたのが山元産のりんご。山元産のりんごは、関東では殆ど目にしませんので、もの珍しさから買ってみました。すると、これがシャキッとしていて大変美味しい!季節はずれ(5月)にもかかわらずのこの味。旬の季節なら、さらに美味しいのでしょうね。

さて、山元町農産物直売所「夢いちごの郷」で、山元産のりんごを普段殆ど目にしない理由を聞いてみました。その理由は、農家には、ほぼ買い手が付いているのだとか。それで、それ以外のところに流通しないのですね。山元町の旬のりんごを食べるには、ここに来るしかなさそうですね。というわけで、今度は旬の季節に来てみたいです。(法橋宏高)

「ほっき飯」

今回訪問した山元町には、名産がいくつかあります。りんご、イチゴ、そしてホッキ貝です。このホッキ貝を使ったほっき飯は、山元町の代表グルメとなっています。この地域では伝統的に、地域の外から訪問者が来ると、そのご家庭ならではのほっき飯を作ってもてなすのだそうです。

ホッキ貝の季節は12月~3月頃です。私たちが訪問した4月初旬は、すでにシーズンが過ぎていたため山元町のホッキ貝は入手できなかったのですが、それでも私たちの「ほっき飯が食べたい!」という要望に応えてくださり、北海道産のホッキ貝で作っていただきました!ホッキ貝を茹でた出汁で炊き込みご飯を作り、ホッキ貝をのせたものがほっき飯です。

ぶつ切りで肉厚のホッキ貝は、噛むと柔らかい歯ごたえで、もっちりとかみ切ることができます。これは、さっとゆでることがポイントで、湯をくぐらせる程度にしているそう。潮の風味が口いっぱいに広がって、貝の甘い旨みがいつまでも口に残ります。少し塩が強めの炊き込みご飯が、ホッキ貝の甘さを引き立てます。「あぁ、日本人で良かった」「東北の日本酒が飲みたい(けど、車なのでできない)」と言い合いながら、ほっき飯を堪能しました。

次回は山元町のほっき飯を味わいに来ます!(土岐三輪)

“続けられる”地域活性の新しい形

『山元の未来への種まき会議』“交流拠点なわっしょ”にお邪魔し、事務局の阿部拓也さん、『ふらっとーほく』の阿部結悟さん(お二人は地元の御親戚)にお話を伺いました。両団体とも地域活性を担う団体として、事業やイベント、町から移住定住計画の提言を請け負う等、多くの成果を上げています。

震災後多数の支援団体が入り活動方法も年々変化する中、漸く自分達らしい活動が出来るようになったとのこと。私が感じた成功ポイントは4つ①地元の方がふらっと立寄れ参加し易い場を創り巻き込む②地元のキーマンを押える③役所と上手に協業する④地元との距離をうまくとる(拓也さんは宇都宮と山元町と二拠点を行き来しバランスを取っているそうです。

二拠点生活は地域移住の点からも魅力的です!)無理せず、緩く、等身大で。若いお二人の肩に力を入れずにしっかり実績を出されている様子に、新しい地域活性の波を見たような気がしました。この波が全国に広がれば、素敵な未来につながりそうですね!(石見亜紀子)

創造特区コミュニティのようなカフェ、“Petite Joie”(プチット・ジョア)に集う次の世代の山元町を創る人たち

大学院の卒業記念として、最後に履修したクラス『ソーシャル・ベンチャー・マネジメント』のクラスの有志で、クラスでもお世話になった南相馬市で起業された恩人と、我々の大学院にゆかりのある先輩の故郷でもあり、GRAを起業された山元町を訪問するフィールドトリップに参加した。

更に同窓のアレンジで、山元町ではGRA以外にも山元町ゆかりの若い世代の人たちのコミュニティが生まれていると聴き、未来の山元町を創ろうと活躍さていている、『山元の未来への種まき会議』“交流拠点なわっしょ”を訪問する機会をいただきました。

阿部さんの本業は県外の大学で農学博士をされているのですが、山元町に新しい名産として、“紅はるか”というスイーツ作りにも向いている糖度の高いサツマイモの生産を、山元町の農家さんとすすめられている。

早速収穫された“紅はるか”を使って、地元の地産地消推進店でもある、スイーツカフェ“Petite Joie”(プチット・ジョア)で、熟成された紅はるかを使って開発されたミルフィーユが大人気ということで、旅の終わりにみんなで伺いました。サツマイモの自然な甘さとねばりがあるペーストと、カスタードと表面がキャラメリゼされたサクサクのパイのミルフィーユ、とっても幸せな美味しさに満たされました。

ご一緒した、『山元の未来への種まき会議』の皆様と日曜日の豊かな午後の時間を過ごしつつ、このお店は、次々と山元町役場の地域活性担当の方や、種まき会議の応援団の方や、山元町を愛する人たちを引き寄せるコミュニティであることもわかりました。活気のある町には美味しいお茶を囲んだコミュニティがある。まるで朝ドラの『あまちゃん』の駅ナカスナック“リアス”や、『ひよっこ』の“すずふり亭”のように、ドラマが好転してゆくための舞台装置として、地元のコミュニティを盛り上げるカフェの存在は大きい。とても豊かな旅を締めくくるお茶の時間でした。引き続き交流が続きますように!(西垣雅代)

関連情報

ICHIGO WORLD
住所:宮城県亘理郡山元町山寺字桜堤47
電話:050-3637-0015
http://ichigo-world.jp/

山元町農産物直売所「夢いちごの郷」
住所:宮城県亘理郡山元町浅生原字下宮前94-1
電話:0223-37-1115

山元の未来への種まき会議交流拠点なわっしょ
住所:宮城県亘理郡山元町高瀬字合戦原113-37
http://tanemaki.info/

プチット・ジョア
住所:宮城県亘理郡山元町山寺字畑中59-3
電話:0223-36-7605
http://petite-joie.com/